sx-70ちょっとした用事で、とある老人の家に 行った。
園の中庭にある ちいさな お花畑の横で
ひとりのおじいちゃんが 車椅子のおばあちゃんの髪の毛を
櫛で ていねいにていねいに 梳いてあげている。
なんだかとても 大切なモノを扱うときにする 手つきで、
おじいちゃんは おばあちゃんの髪の毛を
ていねいに ていねいに 梳いてあげている。
うふふふ、なんだか ほほえましいにゃあ...
そんなふうに思いながら、
しずかにその脇を 通り過ぎた。
用事をすませた 帰り際、
又、同じ園庭を 通った。
おじいちゃんは まだ さっきとおなじように
あばあちゃんの髪を 梳いていた。
やっぱり大切なモノを扱うときの手つきで
おばあちゃんの髪を 梳いていた。
ていねいに ていねいに 梳いていた。
近くにいた職員さんが ニコニコしながら
話しかけてきた。
「仲よし でしょう??^_^」
「なかよしですね ^_^」
「ご夫婦とかじゃ ないんですよ。
でも なんだか どうしても そばにいたいらしくて。
おじいちゃんは 朝おきるとすぐ
あばあちゃんの部屋に 行っちゃうんです。
で、一日中 許される限り、
おじいちゃんは おばあちゃんのそばに いて、
なんだか妙に愛しいものを見る顔つきで にこにこおばあちゃんを見ながら、
ああやって 髪を とかしてあげるんです、ずうっと。。。」
おばあちゃんは まだここに入りたての 意識がしっかりしてた頃は、
毎日 いろんなコトで文句言って 怒ってばかりいる人だったらしい。
おばあちゃんは 来る日も来る日も
いつも なにかに怒って
すべてに 怒鳴ってばかりいて..
そのうち 家族も すっかり面会に こなくなって...
そして、だんだん 意識がいつも朦朧と どこかを彷徨ってるようになった頃、
あのおじいちゃんが ここに やってきたんだって。
「今、おばあちゃんはもう、 意識も記憶も おぼろになってしまったけれど、
ああやって 誰かに大切に思われて、
日がな一日 世話焼いてもらって、
あの穏やかで満足そうな表情を見ていると
人間 なにが不幸で なにがシアワセなのか
実際 わからないなぁ。。なんて
そんなこと しみじみ思ったりしちゃうんですよね。。。」
職員さんは 穏やかな口調で
最初から最後まで ニコニコしながら
ワタシに そんな話しを してくれた。
立ち話をしてるワタシタチのことは まったく意識に入ってない様子で、
おじいちゃんが ふいに つと立ち上がる。
なにをするのかと 見ていたら
おじいちゃんは 庭のはじっこに咲いていた真っ赤な花を
いきなり ぐいぐい ちと乱暴な手つきで 摘みとった。
で、おじいちゃんは その花を持って おばあちゃんのところに戻ると、
にこにこしながら おばあちゃんの よく梳いた髪に
その赤い花を ていねいにていねいに さしてあげたのだった。(わお。)
そのとき ワタシは
おばあちゃんが 子どもみたいに
やわらかく わらったのを 見た。
それは なんだか
ワタシまで おばあちゃんに惚れて
毎日髪を梳きに 通いたくなりそうな、
カワイくて ちょっと初々しい、
穏やかで やわらかな わらいかただった。
シアワセ は
気づくココロさえあれば
もしかしたら そのときいる いつもそこに
いつでも たしかに
あるものなのかもしれない
それに気づけるココロさえあれば
もし ただ それだけ あったなら
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| COMMENT:5
そうだなぁ・・・。
あ、リンク貼らせてください・・m(_ _"m)ペコリ
- 2007/06/02(土) 20:51:29 |
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- fusigi #-
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☆さぼてんさん
ワタシも ばあちゃんになったころ
手をひいてくれる じいちゃんが
いればいいなぁ。
(別に じいちゃんでなく 若いにーちゃんでも可...)
☆fusigiさん
リンク ありがとう。
☆流れ星さん
いつかどこかで なにかの機会に
その微笑みが シェアできたら
いいですね〜^_^
☆星のしずくさん
頬をなでる朝風は 、
髪をゆらす南風は、
きっと穏やかでやさしい..
いつも 素敵な詩を、どうもありがとう。
- 2007/06/05(火) 15:32:40 |
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- U.M.I. #-
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